マーブル式漫画技法
(原題:HOW TO DRAW COMICS THE MARVEL WAY、著者:STAN LEE,JOHN BUSCEMA)
-この色の文章は訳者である私のコメントです。-
-[(ページ数)]は原著でのページ番号です-
この章は短いですが、その重要性は絶大です。時間を掛けてこの章のポイントを完全にモノにしてください。奥行きを出す、このやり方を知らないとあなたの描く人物は皆古代エジプトのピラミッドに描かれた壁画のようになってしまいます!
[78ページ]
単純な遠近法の範疇で人物を見るということはなかなか無いと思います。たいていは体が傾いていたり、あるいは反り返っていたり、ある方向に曲げられていたりします。
優れたコミック作家は皆、この「奥行きを出す」ということをどうやれば良いのか理解しておらねばならず、そしてそれは皆さんも例外ではありません。ここでもまた再び以前に学んだ球、立方体、円柱のことが役に立ちます。これらの幾何学的な形を人体に適用することにより奥行きを出すという重要な問題を簡単に解決することができるようになります。
隣のページに実際に示すように、皆さんの視線に対して傾けられたときは平らになってしまうか、あるいは短く見えるようになります(これが「奥行きを出す」(訳注:単語「foreshorten」のこと)という言葉の由来です。前方に傾けるとモノは短く見えます)
ここで簡単な実験をしてみましょう。コップを持って自分の前に真直ぐ突き出してみて下さい。では、それを後ろに傾けてみて下さい。するとコップが短く見えるでしょう、これが奥行きを出すと言うことです。
同じ事はあなたが人物の上方に位置していて見下ろしている時、あるいは見上げている時にも言えます。
[80ページ]
●隣のページの人物を観察すれば、直方体や円柱が自分から遠ざかるにつれて短く見える事が分かると思います。実際問題、このことが人物全体をブロックの連なりとして考える事の一助となるでしょう。描く側はこれらをひと繋がりのものとして並べ、正しい位置に配置し、見る側の視点が傾いた時には正しく奥行きが出ているようにしなければなりません。
●続くページでは実際のマーブルの漫画から遠近法について問題となる絵を例として取り上げました。それぞれの絵に続いて、ジョンはブロックごとに分解したものと、消失点へ向かう線を描き入れて作者がどうやってこの問題を解決したかを示しています。
●元の絵とブロックに分けた絵を比べてみれば今まで教えてきた決まりごとがほとんどすべての絵において適用されているのが分かると思います。
[84ページ]
黒衣の悪漢の太ももに着目して下さい、現実の世界では太ももは両方とも明らかに同じ長さです。しかしここでのドラマチックなポーズを取った時、右腿は露骨に左よりも短くなっています。というのも、ここでは右の太ももはほとんど見ている側の人の方を向く急角度に傾けられているからです。このことは隣のブロックで描かれたスケッチを見れば明らかです。
同じ事は隣のページ右側のシングのイラストにも言えます。彼の左足と右腕が極端に短くなっているのは共に極端な角度から描かれているからです。こんな感じで巧みに奥行きを出す事で、紙に印刷した状態での人物のアクションがリアリティを持って表現されます。